眠りについて

犬・猫はすぐに行動に移れるように眠りの浅い時間が多くを占めています。睡眠不足になりやすく、睡眠不足は体調不良を招く原因となります。

睡眠は体はもちろん、脳も休ませている大切な時間です。この時間が不足してしまうと疲労回復が上手に出来ないため、免疫力が低下する恐れがあります。また、睡眠不足により食欲が落ちることもあります。栄養をしっかり取ることが出来なくなると、免疫力の低下にも繋がります。



犬の眠りについて獣医師に聞いてみました。

1日に何回も眠ったり、起きたりする睡眠を「多相性睡眠」と呼び、犬は多相性睡眠をすると言われています。多相性睡眠をしている人の乳幼児の睡眠に似てはいます。犬のビデオ観察で多相性の覚醒‐睡眠サイクルの長さの平均は83分間という報告があります。

キツネ、オオカミなど犬科の野生動物は夜行性ですが、飼い犬の日中の活動は、人間への適応を反映しています。眠いな寝たいなというウトウト状態から深い眠りに入っていきますが、その状態が身体の成長を促すホルモンの分泌につながります。

犬の夜の睡眠は、午後の昼寝と比較すると、より睡眠効率(質)が高く、継続性に特徴があります。人も同様ですが、体温は1日同じではなく、ずっと明るい時間帯では中核体温(直腸温度のような体内部の温度)が上昇し、暗闇では体温が低下します。体温リズムの1日の振幅が低い老犬では、フードを食べる場所や移動の道筋の把握など空間記憶能力が低下するという報告もあります。

睡眠にはノンレム睡眠(体も脳も睡眠状態)とレム睡眠(脳波は覚醒に近く、体の緊張はとれている睡眠)の2種類があります。眠っている時に、素早く(Rapid)、眼球(Eye)が、動く(Movement)、頭文字を取ってREM睡眠と名付けられています。

レム睡眠の状態の人を起こすと夢を見ていることが多いそうです。草原を駆け巡っている夢を見ていることもあるでしょう。レム睡眠中、眼球が素早く動く以外の症状として、激しい四肢の動き、遠吠え、吠え、唸り声、咀嚼などのエピソードが含まれます。

屋内で眠っている犬は、夜の約80%をレム睡眠のような体を休める睡眠に費やし、フェンスのない屋外で寝ている犬の場合は、体を休める睡眠は少なく約60%という報告があります。屋外では外敵・気象条件の変化などに機敏に対応しなくてはならず、体を休めるための睡眠は取りにくいのでしょう。硬くゴツゴツした湿気の高い地面の上や気の休まらない場所で体を横たえるよりも、屋内の安全で快適な環境にある犬用ベッドで寝る方が、より体を休めることができて良質な睡眠につながると言えるでしょう。

人の場合、記憶強化のためには睡眠が大変重要な役割を果たしていると言われています。犬の睡眠と記憶の関連では、コミュニケーションスキル(新しいコマンドの学習)向上の可能性があり、睡眠前と3時間の休息/睡眠後を比較すると行動パフォーマンスが有意に増加した報告があります。犬も加齢とともに認知機能が低下します。犬の認知機能低下は、睡眠覚醒サイクルを乱し、異常な行動につながる恐れもあります。

シニア犬になってから、寝る環境を急に整えるのではなく、小さい頃から慣れ親しんだ快適な寝床を提供することはとても大切です。安心感(ストレス低減)、記憶の強化(社会性・訓練性のサポート)、健やかな成長(体温・ホルモン分泌の安定)、体を休める睡眠時間を増やし(回復力)、清潔さを保ち(皮膚病予防)、体圧分散して体の負担を減らすなどなど、良質な犬用ベッドを利用することで愛犬の快適な生活をサポートして健康寿命を延ばしましょう!

小関 隆
獣医師・獣医学修士・医学博士
高輪往診動物クリニック




犬・猫の睡眠時間

犬・猫の睡眠時間   1214 時間程度

犬・猫の一日の睡眠時間は、成犬・成猫が平均12〜14時間程度、子犬・子猫や老犬・老猫の場合は1日のほとんどを睡眠に費やします。眠りの浅い時間が圧倒的に長く、寝たり起きたりを繰り返しながら、1日に必要な睡眠時間を確保しています。一度に寝る時間は、犬の場合60分弱、猫の場合100分弱程度と言われています。

犬・猫の睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠に分けられます。

レム睡眠: 浅い眠りですぐに起きれる状態。全睡眠時間の約80%を占める。体は眠りの状態で、脳は起きている状態。夢を見て手足や尻尾を動かすことがある。
ノンレム睡眠: 深い眠り。呼吸は穏やかで、脈拍は遅くなり、血圧や体温が低下。安心できる環境がなければ深い眠りを迎えにくくなる。

心身ともに健康を維持するためには、犬・猫は人よりもこれほど長い睡眠を確保することが必要なのです。
安全が確保された家庭で飼われている犬・猫の場合は、より睡眠時間が長くなる場合もありますが、逆にストレスがかかっている場合は睡眠が短くなる傾向があります。



 

理想的な環境

温度  22 ℃位
湿度  5060 %位

眠りの浅い時間が圧倒的に多い犬・猫にとって、安心して休める環境を確保することはとても大切です。


★適切な温度・湿度★

温度22℃位、湿度50〜60%位が理想的です。
夏場だけでなく冬場の温度・湿度管理にも注意が必要です。
冬場は、寒すぎると心身にストレスを感じ、抵抗力が低下して体調不良を起こしやすくなったり、乾燥しすぎると喉や鼻の粘膜が乾いて免疫機能が低下する傾向があります。
理想的な温度・湿度を維持してあげましょう。急激な温度変化にも注意が必要です。


★ペットの専用スペース★

適度なサイズのサークルやベッドをペットが安心して休める場所に設置しましょう。
ペットが安心できる専用スペースを維持するために、専用スペースを頻繁に移動したり、使い慣れたサークルやベッドを頻繁に交換したりすることは避けましょう。


★清潔な状態★
ペットの専用スペースを清潔に維持することは、ペットにとってやさしいだけでなく、一緒に暮らす人にとってもメリットがあります。 例えばアレルギーの原因になるダニ。家の中にいる代表的なダニは、「チリダニ」と言われる0.1〜0.3mm程の肉眼では見えないほどの小さなダニです。 チリダニが好む環境は、温度25℃〜30℃、湿度60%〜80%(チリダニが最も繁殖しやすい環境)と、人やペットが過ごす室内環境と同じなのです。
チリダニは、人や動物のフケや垢、食べ物のカスなどの動物性タンパク質を主食としています。したがって、ペットが長い時間を過ごす「ベッド」は、チリダニのエサが豊富なのです。 また、隠れやすく外敵の影響を受けにくい場所を好むため、繊維が密集しているところはチリダニにとっては最適な環境なのです。 チリダニにとって最も理想的な環境と言えるのは、なんとペットが長時間過ごすベッドなのです。 ベッドはダニの温床となりやすいため、出来るだけ洗えるベッドを使いましょう。



 

一日の平均的な総睡眠時間比較

動物の名前 一日の平均的な総睡眠時間*
コウモリ 20時間
コアラ 20時間
トラ 16時間
リス 15時間
フェレット 15時間
フクロウ 15時間
ハムスター 14時間
ライオン 14時間
犬・猫 12〜14時間
子犬・子猫、老犬・老猫、大型犬はより睡眠時間が長い傾向
ネズミ 12時間
12時間
ウサギ 11時間
イルカ 10時間
アヒル 10時間
ヤギ 5時間
4時間
4時間
3時間
3時間
キリン 2時間

* 動物の睡眠には個体差があります。