米国の非営利団体Clean Label Projectが、ドッグフードに含まれる重金属を調べた結果を、2026年2月に公表しました。 [1]
調査対象は、米国で販売されている79製品です。この記事では、その結果をもとに、愛犬の健康への影響をどう考え、毎日のフード選びで何を確認すればよいかを整理します。 [1]
結論からお伝えすると、この調査だけを理由に、今のフードを一律に替える必要はありません。飼い主様が与えるフードをすべて自分で分析検査するよりも、まずは含まれる量と基準、メーカーの管理体制を確認することが、現実的な判断につながります。 [1] [4] [6]
アンベルソ(ANBERSO®)は、こうしたニュースを、飼い主様が落ち着いてフードを選ぶための情報としてお届けしたいと考えています。海外の研究と日本の制度をひもときながら、確認するポイントを見ていきましょう。
ドッグフード79製品の重金属調査で分かったこと
Clean Label Projectが2026年2月に公表した犬用フードの調査では、米国で販売されている79製品を分析しています。対象は、ドライ、エアドライ・フリーズドライ、フレッシュ・冷凍のフード。調べたのは、ヒ素、カドミウム、鉛、水銀の4種類です。 [1] [2]
このうち、ドライフード50製品の平均値を見てみましょう。公表資料の単位はppbで、1,000 ppbを1 µg/gに換算できます。 [1]
| 対象物質 | 公表平均(ppb) | µg/gに換算 |
|---|---|---|
| ヒ素(総量) | 184.6 | 0.1846 |
| カドミウム | 68.5 | 0.0685 |
| 水銀 | 3.8 | 0.0038 |
| 鉛 | 180.1 | 0.1801 |
表の数字は、食べる量で調整する前の、50製品をまとめた平均です。個別商品の検査結果を知るには、その製品の数値が必要になります。また、日本の基準と比べる際には、水分の条件もそろえます。 [1] [7]
今回分かるのは、調べたフードに何がどれだけ含まれていたか、ということです。食べた犬の健康状態を追跡した調査ではないため、健康への影響を考えるには、含有量に加えて、食べる量や期間などの情報も必要です。 [1]
健康への影響は、含まれる量と食べる量で考える
ヒ素やカドミウム、鉛、水銀は環境中に存在し、原料を通じて食品に入ることがあります。FDA(米国食品医薬品局)は、これらを過剰に摂取すると健康に影響し得ると説明しています。大切なのは、含まれている量と、毎日どれだけ食べるかを合わせて考えることです。 [4]
コーネル大学の獣医学研究者らが2018年に発表した研究も、この点を考える参考になります。51種類のドライドッグフードを分析したところ、調べた濃度で直接的な毒性が起きる可能性は低いと評価されました。ただ、生涯にわたる摂取の影響には、今後も研究が必要な点が残っています。 [5]
ニュースで目にする「人の食品の何倍」という数字は、濃度を比べたものです。犬が病気になる確率を知るには、フードの濃度だけでなく、体格、食べる量、食べ続ける期間、物質の形態なども考慮します。濃度の比較と健康リスクの評価は、ここで分けて読みましょう。 [1] [5]

海外の獣医師会が勧める、フード選びの視点
フードの品質を確認するうえで参考になるのが、世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドです。栄養設計を担う専門家、製造元、品質管理、完成品の検査、問い合わせ先などに目を向けるよう案内しています。原材料名や「プレミアム」という表示に加えて、誰が設計し、どのように作り、確かめているかを見ていく考え方です。 [6]
安全性を管理する仕組みも整えられています。米国ではFDAが動物用食品の汚染物質を監視し、EUでは飼料に含まれる有害物質の上限を定めています。国や地域の数値を比べるときは、水分の条件や、ヒ素ならどの形態を測っているかを確認します。こうした条件までそろえると、数字の意味が見えてきます。 [4] [7] [8]
日本のペットフード安全法と、フードを管理する仕組み
日本では、農林水産省と環境省がペットフード安全法を共同で所管しています。製造・輸入などを行う事業者が安全性の確保に責任を持ち、国やFAMIC(農林水産消費安全技術センター)による立入検査や分析を組み合わせて管理する仕組みです。 [7]
販売する側に基準を守る責任があり、行政が検査などを通じて確認します。国が全商品を販売前に検査して認定する方式とは異なるため、フードを選ぶ際には、メーカーがどのように品質を管理しているかも参考になります。 [7]
農林水産省のリーフレットには、次の成分規格が示されています。いずれも、水分10%に換算した値です。 [7]
| 対象物質 | 上限値(水分10%に換算) |
|---|---|
| カドミウム | 1 µg/g |
| 鉛 | 3 µg/g |
| 無機ヒ素(3価・5価の合計) | 2 µg/g |
µg/gは、フード1g当たりの量を表します。表のヒ素の基準は「無機ヒ素」で、海外調査で示された「総ヒ素」とは測定対象が異なります。調査の平均値と日本の上限を直接比べる前に、単位、水分、測定対象の3点を確認することが大切です。 [1] [7]
なお、この規格表には水銀の数値上限は掲載されていません。水銀についても、量と摂取条件を踏まえて健康への影響を考える必要があります。 [4] [7]

今のフードも、新しく選ぶフードも。確認したい3つのこと
1.愛犬に合う食事か、表示を見る
まずは、主食として与えるフードか、補助的に与えるものかを確認します。そのうえで、愛犬の年齢や用途に合う栄養の表示を見ましょう。栄養の表示は食事としての適合を知る手がかりです。重金属などの管理については、メーカーの検査情報を別に確認します。 [6] [7]
2.メーカーの品質管理を確認する
例えばピュリナやロイヤルカナンは、原料や供給者の確認、製造工程、製品の追跡管理などを自社サイトで説明しています。まずは、お使いのフードのメーカーに、こうした品質管理の説明があるかを見てみましょう。 [9] [10]
品質管理の説明を読むときは、チェックの件数よりも、その内容に注目すると分かりやすくなります。重金属について知りたい場合は、どの物質を、原料と完成品のどちらで調べているか、日本向けの対象製品について確認できるかを尋ねます。自社の管理方針と、個別の製品・ロットの検査結果を区別して受け取ることも大切です。 [9] [10]
3.問い合わせ先とロット番号を確かめる
メーカーや輸入・販売元の問い合わせ先が分かることも、選ぶ際の目安になります。製品名やロット番号を控えておけば、問い合わせがスムーズになり、回収のお知らせが出たときにも対象かどうかを確認できます。 [6] [9] [10]

もう少し詳しく知りたいときは、メーカーに聞いてみる
アンベルソでは、日頃、パッケージに表示されている成分情報を確認しています。重金属の含有量は、原材料名や一般的な成分表示からは読み取れないため、詳しく知りたい場合にはメーカーの分析・検査情報を確認します。 [1] [6] [7]
メーカーに尋ねるときは、製品名を添えると回答を得やすくなります。例えば、次の3つを聞いてみてください。 [6]
- この製品について、鉛、カドミウム、ヒ素、水銀の管理・検査はどのように行っていますか。
- 原料と完成品のどちらを検査し、どの基準や頻度で確認していますか。
- 日本向け製品について、公開できる検査情報や規格への対応説明はありますか。
数値の回答が得られたら、検査日、対象の製品・ロット、水分の条件、ヒ素の場合は測定した形態も確認しましょう。情報を公開していないメーカーには、公開できる範囲で管理方法の説明を求めると、判断材料を増やせます。 [1] [6] [7]
飼い主様が、いま確認できることから
愛犬の毎日の食事に関わるニュースだからこそ、気になるのは自然なことです。まずは今のフードの表示を見直し、メーカーの品質管理と問い合わせ先を確かめてみましょう。分からないことがあれば、製品を特定して質問する。飼い主様が確認できることを一つずつ進める姿勢が、落ち着いたフード選びにつながります。 [1] [6]
個別の回収情報がある場合は、対象の製品・ロットを確認してください。体調に心配がある場合や、持病のために療法食を与えている場合は、食事を変更する前に、かかりつけの獣医師に相談しましょう。 [6]
フードを選ぶ際には、商品ごとの表示や用途を見比べることから始めてみてください。アンベルソで取り扱うフードは、ドッグフード一覧からご覧いただけます。
猫用フードについては、キャットフードの重金属調査の記事もご覧ください。
出典
2026年10月6日確認。以下は原典・公的資料・メーカーによる公開説明です。
- Clean Label Project|犬用フード調査(2026年2月)
- Pet Food Institute|犬調査への声明(2026年2月12日)
- Clean Label Project|猫調査の公表資料(2026年10月2日)
- FDA|Chemical Contaminants / Trace Elements
- Kimら(2018)|市販犬用ドライフード51製品の元素分析
- WSAVA|Guidelines on Selecting Pet Foods
- 農林水産省|ペットフード安全法リーフレット(2026年7月)
- EU|Directive 2002/32/EC(有害物質規則)
- Purina|品質管理の公開説明
- Royal Canin|品質と食品安全の公開説明
